『英国王のスピーチ』


お越しいただきありがとうございます。
スカイハイプロダクション高橋です。
最近はありがたいことに、週末までお仕事がビッシリで映画を観に行く事もままならない
状況ですが、今夜は『アーティスト』あたりを観に行けるかなぁ~、などとぼんやり考えて
おります。

さて、今更ながらだが、もう何度も観ている
『英国王のスピーチ』を取り上げてみようかと。

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【あらすじ】

監督 トム・フーパー
俳優 コリン・ファース、ヘレナ・ボナム=カーター、ジェフリー・ラッシュ

現イギリス女王・エリザベス2世の父、ジョージ6世が主人公の歴史ドラマ。
吃音症を抱えながらも言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって
国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。トロント国際映画祭にて観
客によって選ばれる観客賞を受賞。cinema cafe より引用

【感想】

まず、ストーリーの構造としては至ってシンプルなものだ。

とても困難な障害を、変わり者の師のもとに成長していき、最後は成就する。

以上。
なんてシンプル…
この構造に、それぞれのキャラクターを肉付けしていく。
主人公は、イギリスの王様であるジョージ6世。
乗り越えなくてはならない障害は、吃音。
これは、民衆に向かってスピーチをしなくてはならないため。
しかも、時代は第二次世界大戦に突入する頃。
相手国の指導者は、かの演説の名手、ヒトラーだ。
そして、その障害を乗り越える為にサポートするのは、世間的には全くの無名。
尚かつ植民地であるオーストラリア移民であるライオネル・ローグという言語療法士。
クライマックスは、イギリスが第二次世界大戦に参戦する際のスピーチで、民衆を勇気づける
ためのクリスマスのスピーチ。
と、書いてしまえばとてもおもしろい映画だなぁ、なんて思いますが、

これ実話なんですね。

なので、王室特有の後継問題や幼少期のトラウマ(これが吃音の主原因)など、ジョージ6世を
形成する要素が、映画のストーリーとしてもカタルシスに向けて機能してくる。
これ、映画としてもとても僕好みの作品なのだが、僕はこのライオネルという言語療法士にとて
も感情移入してしまう。
というのも、僕自身の仕事がまさにこの構造のなかのライオネルだからだ。
弊社スカイハイプロダクションはいたって小さな会社で、大きな看板など持ち合わせていない。
そんな会社に企業や新商品のブランディングの話が持ち込まれる(そんなこともやってます)。
大抵は小さな会社だけれども中にはみなさんも聞いた事のあるメーカーがあったりもする。

そのときは電通、博報堂に負けないくらい頭を使い、工夫を凝らし、彼らが手のかけられないところにも手をかけ、クライアントに寄り添う。
弊社のように小さな会社だから出来る事だろう。
そんな構造が見事に本作のジョージとライオネルの関係にオーバーラップしてしまったのだ。
ふたりが深く信頼関係を築くまでの件も大変興味深い。
弊社の場合もそうだが、クライアントの機嫌をとっているだけではそれは築けない。
嫌な事も進言しなければならないときがある。
これはかなりの賭けだ。
これで切られてしまうかもしれないし、『何を出しゃばってるんだ!』とも思われかねない。
さすがにこちらも相手を見てのことになる。
本作で云えば、まさにジョージが王位に就くことにならなくなってきたとき、二人で大胆にも
街に散歩にでながら話をする。
そのときライオネルが、

『現王様のあなたの兄よりあなたのほうが立派な王様になれる。』(かなりざっくり)

と、かなり出過ぎたことを云うのだ。
ジョージも半分は肚が決まっているのだが、覚悟はできてはいない。
そこにそんな平民からプレッシャーをかけられて憤慨し、

『もうおまえとは会わない』

となってしまう。
しかしジョージは自分のことを真に考えてくれて、忠告してくれるライオネルの存在が
いかに大きいかを後で気付くのである。
そして王自ら平民に謝罪に行くのだ。
この件で二人の絆は強固なものになったのだ。
また、謝罪に行った時の言い方もねぇ~、
グっときます!
そんなこんなでクリスマスのスピーチは大成功し、民衆も鼓舞され、この何年か後には
チャーチルが首相に就任し、負けていた戦争をひっくりかえすのである。
(これは飛びすぎかな)

監督トム・フーバーもそのへんを伝えたいのかはわからないが、ラストカットは
まさにライオネルの”ドヤ顔”(笑)で幕を閉じている。

僕自身もこんな関係を築いてみたいと、心から思った作品だった。

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