【キャスト・スタッフ】
キャスト: ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、ロビン・ライト、
フィリップ・シーモア・ホフマン、クリス・プラット、ケリス・ドーシー、
キャスリン・モリス、スティーブン・ビショップ、ブレント・ジェニングス、
ジャック・マクギー、ニック・サーシー、グレン・モーシャワー
監督: ベネット・ミラー
製作: マイケル・デ・ルカ、レイチェル・ホロビッツ、ブラッド・ピット
製作総指揮:スコット・ルーディン、アンドリュー・カーシュ、シドニー・キンメル、
マーク・バクシ
原作: マイケル・ルイス
原案: スタン・シャービン
脚本: スティーブン・ザイリアン、アーロン・ソーキン
撮影: ウォーリー・フィスター
美術: ジェス・ゴンコール
編集: クリストファー・テレフセン
衣装: カシア・ワリッカ=メイモン
音楽: マイケル・ダナ
【ストーリー】
メジャーリーグ「オークランド・アスレチックス」のGM(ゼネラルマネージャー)、ビリー・
ビーンの半生を、ブラッド・ピット主演で映画化。全米約30球団の中でも下から数えたほうが
早いといわれた弱小球団のアスレチックスを独自の「マネー・ボール理論」により改革し、常
勝球団に育てあげたビーンの苦悩と栄光のドラマを描く。監督は「カポーティ」のベネット・
ミラー。「シンドラーのリスト」のスティーブン・ザイリアンと「ソーシャル・ネットワーク」
のアーロン・ソーキンが脚本を担当した。(映画.comより引用)
【感想】
本作『マネーボール』はビリー・ビーンの半生を通して、
”自分の信じる道を突き進むことは困難だけれども、その一途さは忘れてはならない。”
というメッセージを監督ベネット・ミラーは描こうとしたのではないかと思う。
このメッセージと、野球球団のGMが弱小球団を改革させるという
ストーリーの相性はものすごくいい。
更に、それを作り出した制作陣の、監督ベネット・ミラー、脚本スティーブン・ザイリアン、
アーロン・ソーキンが、過去作からしてもとても適している。
中身の演出も、”説明しすぎない演出”がとても僕好みだ。
これは『ソーシャル・ネットワーク』にも通ずるもの。
本編は、ブラット・ピット扮するビリー・ビーンとジョナ・ヒル扮するピーター・ブランドの
ふたりが、”マネーボール理論”という非常に理論的な必勝法を用いて、クラシックな野球に挑
み、弱小球団を連戦連勝させてく。
ふたりのコンビネーションがまた良いのだ。
”マネーボール理論”を習得したピーターをビリーが採用するくだりなんて相当グっとくる。
ビリー本人もメジャーリーガーだったのだが、メジャー時代は全然パッとしなかった。
高校卒業時にメジャーからのスカウトと1流大学への推薦入学、の選択肢があったのだが、
メジャーとの契約を、おそらく家族のために選ぶ。
その選択を今でもビリーは後悔している。
その選択をビリーはピーターを採用するときの電話で質問するのだが、
ピーターは自身の”マネーボール理論”に基づいて正直に答える。
「大学に進学することがベストな選択だったよ」と。
そのやりとりでふたりの信頼関係は強いものとなったのだ。
その後はその理論をどんどん押し進めていく。
しかしその型破りな理論は受け入れられずに、フィリップ・シーモア・ホフマン扮する
監督はとくに従わずに今まで通りの采配で依然として改革は進まない。
それをビリーは力技でどうにか理論に沿ったものしていき、それが機能しだすとあれよあれよ
と連勝が始まるのだ。
このへんのうまくい回りだしたくだりはかなりのカタルシスが生まれている。
しかしこのビリーというひとは変なジンクスがあって、自分が球場にいるとチームが負けると
思っている。
ものすごく論理的な”マネーボール理論”を押し進めている彼がそんなジンクスを気にしている
のがとても人間的で、この人が決して強靭な精神の持ち主ではないのだと伝わってくる。
そしてチームは歴史的な連勝記録樹立か?という試合を迎えるのだが、またしても彼は球場には
居らず、スカウトでどこかに向かっている。
そこに娘から電話で、
「早く戻ってきなさいよ。歴史的な瞬間に立ち会えないくなるわよ」
と、圧倒的なリードで勝っていることを知る。
さすがにこれで負ける事はないだろうと球場に戻るのだが、これまたあれよあれよと同点にされ
てしまう。
「やっぱりオレが来たから・・・」
と思ったのだろう。
球場のトレーニングルームに行ってしまう。
そして監督がいままでは進んで起用しなかった選手(マネーボール理論のシンボル的な選手)を
代打起用し、試合に勝つのだ。
晴れて連勝の歴史的新記録を樹立するのだが地区優勝には至らなかったのだ。
しかしその圧倒的コストパフォーマンスの理論による大躍進に、ビッグチームからのオファーが
ビリーにくるのだけれどもなんと彼はそのオファーを蹴って、今までのチームで更に理論を進めて
いくことを選択するのだ。
この辺は、間違いなく過去の”間違ったt選択”を繰り返さないということだろう。
そして、
”娘からの歌”
というものがある。
これは娘が、「パパ、オークランドに残ることになったらこのCDを聴いてね。」という
おそろしいほどにグっとくるくだりがある。
これが否が応にも泣かされる…
(歌詞)
今 困ってるの
人生は迷路 恋は謎々
どうしよう 一人ではムリ
やってはみたけど
わたしは 戸惑う女の子
怖いけど 澄まし顔
答えが見えない
でも そんなの忘れよう
そして楽しもう
ゆっくり 止まって
心臓がはじけそう
だってムリ これ以上
違う人の フリなんて
愛の枯れた オバカさん
また迷ってる
パパはオバカね
パパはオバカ……
もっと野球を楽しんで