お越しいただきありがとうございます。
スカイハイプロダクション高橋でございます。
ここ最近めっきり秋らしくなってきましたね。
秋といえば、断然”食”ですよね。
みなさんも秋の味覚を堪能していますか?
わたくしも堪能しすぎていて、更に肥えてきたようです…
ということで、自転車なんぞで運動の比率を増やそうかという昨今です。
さて、今回取り上げる映画は、スティーブン・ソダーバーグ監督の『サイド・エフェクト』。
わたくしはこの監督は最も好きな監督のひとりです。
前回観た作品は、『ガールフレンド・エクスペリエンス』で、この作品もとても良かったです。
【解説】
スティーブン・ソダーバーグ監督が、薬の副作用が招いた殺人事件と、その事件に潜む陰謀を
描いたサスペンス。幸福な生活を送っていたエミリーは、夫がインサイダー取引で収監された
ことをきっかけに、かつて患ったうつ病が再発。精神科医のバンクスが処方した新薬により、
うつ症状は改善されたものの副作用で夢遊病を発症し、やがて無意識状態のまま殺人を犯して
しまう。主治医としての責任を問われ、社会的信頼を失ったバンクスは、エミリーに処方した
新薬について独自に調査を開始。やがて衝撃的な真実にたどりつく。バンクス役のジュード・ロウ
、エミリー役のルーニー・マーラほか、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、チャニング・テイタムら
豪華キャストが集う。ソダーバーグの社会派作品「インフォーマント!」「コンテイジョン」も
手がけたスコット・Z・バーンズが脚本を担当。(映画.comより)
【スタッフ】
監督 スティーブン・ソダーバーグ
製作 ロレンツォ・ディ・ボナベンチュラ グレゴリー・ジェイコブズ
スコット・Z・バーンズ
製作総指揮 ジェームズ・D・スターン
【キャスト】
ジュード・ロウ ジョナサン・バンクス
ルーニー・マーラ エミリー・テイラー
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ ビクトリア・シーバート
チャニング・テイタム マーティン・テイラー
まず、基礎知識として、本作の舞台となっているアメリカは、
様々な精神疾患に対してドバドバと薬を処方し、精神科医も患者もそれに対して特に
抵抗がない社会である。
特出して押さえておかなくてはならない薬が”SSRI”という抗うつ薬で、発明されてか
ら現在の様相が始まった。
これによって製薬会社は莫大な利益を得て、市場も世界中に広まった。
真偽のほどは定かではないが、この薬によって精神状態が普通ではなくなり、殺人や自
殺を引き起こす可能性が高くなるという指摘も多く報告されている。
日本でも多くの事件の背景にこの薬を常用している患者が引き起こした事件が起こって
いる。という知識は、アメリカでは共有されていて、本作の下地にもなっている。
監督スティーブン・ソダーバーグの作風としてもとてもフィットしていて、これらの要
素から製薬会社の闇を暴く作品になっているのだろうと誰もが思うが、そこが”痛快に”
裏切られるあたりが本作の真骨頂である。
そういった社会風刺を用いながら、一流のサスペンスに仕上げてある。
その脚本はスコット・Z・バーンズが担当している。
僕は、彼とスティーブンのタッグの作品は、『コンテイジョン』しか観ていないけれど、
この作品も本作同様、社会風刺をエンタテインメントに昇華させた優れた作品だった。
僕はこの作品から、監督は何をメッセージとして伝えたかったのか?を考えてみる。
前述した製薬会社の闇?
強欲な寂しい女の生き様?
もがきながらも正義を貫こうとする男の物語?
どれもそうかもしれない。
けれども、本作はそれらを”おかず”としたエンタテインメント作品なのではないだろうか?
かろうじて”もがきながらも正義を貫こうとする男の物語?”というのは強めにあるかもしれない。
しかし、ラストは製薬会社も絡む嫁家族とのハッピーエンドとなっているあたりは、ちょっと複
雑な描写である。
ただ、”社会風刺的な側面”と、”エンタテインメント”の塩梅が実に秀逸なのだ。
トリックの種明かしも大仰ではないし、凡庸な説明的な描写にもなっていない。
唯一回想シーンとして、エミリー・テイラーとマーティン・テイラーの結婚パーティーシーンが
ある。
彼女は心の底からセレブリティーな生活に憧れていたのだろう。
それを実現させた夫がロクでもない商売をして成功を手にしていたあたりも興味深い。
ただ、その生活を失ったからうつになり、復讐するという動機は若干薄いかなと思う。
あと、ジュード・ロウの奥さんの描写はよくわからない。
あの人を魅力的だとは多くのひとは感じないだろう。
だとしたら意図的に監督は描いたのだろう。
アメリカの富裕層のスタンダードを皮肉っているのだろうか?
キャサリン・ゼタ=ジョーンズとルーニー・マーラのレズってるシーンは良かった!
(下のシーンはグっときましたよ)
本作は、思い出せば思い出す程もう一度観たくなってくるし、上質なサスペンスとして映画史に
残る作品だと思う。
監督には、是非ともこれが劇場作品最後と言わずに今後も撮り続けてほしい。
こちらも秀作。